
目次
「良い仕事をしているのに、なぜか伝わらない」

「うちの技術力には自信がある。お客様にも喜んでいただけている。なのに、ホームページを見て来るのは価格だけで比較するお客様ばかり……」
もしこんなもどかしさを感じているなら、それは技術やサービスの問題ではなく、「伝え方」の問題かもしれません。
多くの中小企業の経営者は、自社の強みやこだわりを頭の中にはっきり持っています。
しかし、それを「ホームページに載せる文章」として形にするのが難しい。
ライターに外注するにも予算が気になるし、自分で書こうにも筆が進まない——そんな状況はめずらしくありません。
そこで提案したいのが、AIを"聞き上手な相棒"として使う方法です。
ここで大切なポイントがあります。
AIに「うちの紹介文を書いて」と丸投げするのではありません。

あなたの想いや経験を、AIが対話を通じて引き出し、整理して、文章という形にしてくれる——そういう使い方です。
ChatGPTやClaudeなどのAIツールは、実は「聞き役」としてとても優秀です。
質問を投げかけてもらい、それに答えるだけで、自分でも気づいていなかった強みが見えてくることがあります。
この記事では、AIとの対話を使って自社の魅力を言語化し、ホームページで発信するための3つの具体的な方法を、プロンプト例(AIへの指示文)付きでご紹介します。
文章を書くのが苦手でもまったく問題ありません。
必要なのは、ご自身の仕事への想いだけです。
【方法1】製品やサービスの開発背景・ストーリーをAIとの対話で言語化する

なぜ「ストーリー」が大切なのか
「何を売っているか」だけでなく「なぜそれをやっているのか」が伝わると、価格ではなく想いに共感してくれるお客様が集まります。
しかし、経営者ご自身にとっては当たり前すぎて、あらためて言葉にするのは意外と難しいものです。
そこで、AIに「聞き手」になってもらい、インタビュー形式で対話することで、自然とストーリーが引き出されます。
具体的な手順
【ステップ1】AIに「聞き手」の役割を設定する
以下のようなプロンプト(指示文)をAIに送ります。
あなたは中小企業のブランディングを専門とするインタビューライターです。
私は金属加工を手がける町工場の経営者です。
自社の創業ストーリーや、この事業を続けている理由を、ホームページの「代表あいさつ」ページに掲載したいと考えています。
これから私にインタビューするつもりで、1つずつ質問してください。
質問は一度に1つだけにして、私の回答を深掘りしながら進めてください。
最初の質問をお願いします。
【ステップ2】AIの質問に、思いつくまま答える
AIから「この事業を始めたきっかけは何ですか?」「そのとき、どんな気持ちでしたか?」といった質問が来ますので、完璧な文章でなくて構いません。
話し言葉のまま、思いつくまま答えてください。5〜10回のやり取りで十分な素材が集まります。
【ステップ3】対話内容からストーリー文章を作成してもらう
ひととおり対話が終わったら、次の指示を出します。
ここまでの対話内容をもとに、ホームページの「代表あいさつ」ページ用の文章を作ってください。
文字数は400〜600文字、です・ます調で、読み手が「この会社に頼みたい」と感じるような温かみのあるトーンでお願いします。
創業のきっかけ→大切にしていること→お客様へのメッセージ、の流れで構成してください。
完成した文章の活用先

この方法で作ったストーリーは、以下のようなページで活用できます。
- 代表あいさつページ:創業の想いや価値観を伝える
- 会社概要ページ:沿革に血の通ったエピソードを添える
- サービス紹介ページ:「なぜこのサービスを提供するのか」の背景として
- 採用ページ:会社のビジョンや文化を求職者に伝える
- SNS投稿素材:ストーリーの一部を切り出して発信に使う
【方法2】他社との違いをAIに壁打ちして整理する

「うちの強みって何だろう?」が出てこない理由
自社の強みを自分だけで考えると、どうしても「品質が良い」「対応が丁寧」のような抽象的な言葉で止まってしまいがちです。
これはあなたの思考力の問題ではなく、自分の「当たり前」は自分では気づきにくいという、誰にでも起こる現象です。
AIを"壁打ち相手"として使うと、業界の一般的な課題や顧客の不満を客観的に整理してもらえるので、「それに対してうちはこうしている」と差別化ポイントが明確になります。
具体的な手順
【ステップ1】業界の一般的な課題をAIに洗い出してもらう
まずは以下のプロンプトで業界の一般的な課題をAIに洗い出してもらいます。
業種や従業員の規模などの部分はご自身にあてはまるものに変更してください。
あなたはWebマーケティングのコンサルタントです。
私は地元密着で注文住宅を手がける従業員15名の工務店を経営しています。
この業界でお客様がよく感じる不満や不安、業者選びで困ることを10個挙げてください。
一般的な課題を知りたいので、客観的に教えてください。
【ステップ2】課題に対する自社の対応を整理する
AIが挙げた課題リストを見ながら、「うちはこの点はこう対応している」「ここは他社と違うやり方をしている」を書き出します。
箇条書きで十分です。
それをAIに渡して整理してもらいます。
先ほど挙げてもらった課題のうち、うちの工務店が特に力を入れて対応しているものがあります。
以下のメモを見て、差別化ポイントとして整理してください。
- 見積もりは項目ごとに全部出す。一式見積もりは絶対にしない
- 着工後の追加費用が出ないように、契約前に3回打ち合わせする
- 完成後の定期点検を10年間無料でやっている
これらを「お客様にとってのメリット」が伝わるように、それぞれ2〜3行の説明文にまとめてください。
【ステップ3】差別化ポイントを比較表にまとめてもらう
最後に以下のプロンプトで差別化ポイントを比較表にまとめてもらいます。
整理してもらった差別化ポイントを、「一般的な業者」と「当社」の比較表にしてください。
ホームページの「選ばれる理由」ページに掲載できる形式でお願いします。
整理した差別化ポイントの掲載場所と見せ方
- 「選ばれる理由」ページ:比較表形式で一覧にする
- トップページのキャッチコピー下:最も強い差別化ポイント1つを短い文章で掲載
- 各サービスページ:該当する差別化ポイントをページ内の説明に組み込む
- よくある質問(FAQ)ページ:「なぜ御社は○○なのですか?」という形式でQ&Aに展開
- Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)の説明文:差別化ポイントの要約を掲載
【方法3】職人技や工程の紹介文をAIで作る

「当たり前にやっていること」がお客様には大きな価値になる
たとえばオーダーメイド家具店で、素材の木材を1枚1枚目で確認して選んでいること。
塗装を3回重ねて仕上げていること。
こうした工程は、職人にとっては日常ですが、お客様にとっては「そこまでやってくれるのか」という驚きと安心につながる大きな価値です。
問題は、こうした価値をわざわざ文章にする時間がないことです。
そこで、スマホで撮った作業写真や、短いメモ書きをAIに渡すだけで紹介文に仕上げる方法をご紹介します。
具体的な手順
【ステップ1】スマホで写真を撮り、メモを残す
現場で「ここ、うちならではだな」と思うポイントをスマホで撮影してください。
あわせて、その写真について短いメモを残します。
完璧に書く必要はなく、以下のような箇条書きで十分です。
例:
- 木材の仕入れは産地に直接行って選んでいる
- 節や木目を見て使う場所を決めている
- 塗装は3回。1回ごとに乾燥時間を24時間とっている
- 最終チェックは代表が必ず自分の手で触って確認する
【ステップ2】メモをAIに渡して紹介文にする
メモの内容を以下のプロンプトに入れて紹介文にします。
【メモ】の下の部分はあなたのメモに書かれている内容に変更してください。
あなたはものづくり企業の魅力を伝えるWebライターです。
以下は、オーダーメイド家具工房の作業工程に関するメモです。
これをホームページの「私たちのこだわり」ページに掲載する紹介文にしてください。
【メモ】
- 木材の仕入れは産地に直接行って選んでいる
- 節や木目を見て使う場所を決めている
- 塗装は3回。1回ごとに乾燥時間を24時間とっている
- 最終チェックは代表が必ず自分の手で触って確認する
条件:
- です・ます調
- 各工程を小見出しつきで紹介する構成
- お客様が「ここまでやっているのか」と感じられるように、一般的にはどうしているかとの違いがわかる書き方
- 全体で300〜500文字
【ステップ3】写真とセットで掲載する構成を考える
AIに紹介文を作ってもらったら、撮影した写真とセットで掲載しましょう。
構成案もAIに相談できます。
先ほどの紹介文を、写真4枚と組み合わせてホームページに掲載したいです。
「私たちのこだわり」ページの構成案を、以下の形式で提案してください。
- ページタイトル ・リード文(100文字程度)
- 各セクション(小見出し+紹介文+写真の説明)×4セクション
完成コンテンツの掲載イメージ

- 「私たちのこだわり」ページ:工程ごとに写真+説明文を並べた専用ページ
- 「製品ができるまで」ページ:工程を時系列で紹介するストーリー仕立てのページ
- ブログ記事:工程の1つを取り上げて深掘りする連載記事
- Instagram・SNS投稿:写真1枚+短い紹介文を切り出して投稿
AIは「書く道具」ではなく「引き出す相棒」

ここまで3つの方法をご紹介しましたが、すべてに共通する大切なポイントがあります。
それは、AIが書くのではなく、あなたの中にある想い・経験・こだわりをAIが引き出して形にするということです。
AIはどこにもない新しい価値を作ることはできません。
しかし、あなたが持っている価値を「言葉」に変換する作業を手伝うことは得意です。
だからこそ、出来上がった文章にはあなたの会社らしさがきちんと宿ります。
「自分は文章が苦手だから……」と思っていた方ほど、ぜひ試してみてください。
AIに話しかけるように答えるだけで、驚くほど自然にあなたの想いが言葉になっていきます。
【まず今日やること】最初の1アクション

この記事を読み終えたら、まずは方法1のステップ1だけやってみてください。
ChatGPTやClaudeを開いて、この記事に掲載したプロンプト例をそのままコピーして送信するだけです。
業種名の部分だけご自身の業種に書き換えてください。
AIからの最初の質問に答えてみると、「あ、自分の仕事のことを話すのって意外と楽しいな」と感じるはずです。
そこから先は、自然と対話が進んでいきます。
言葉にできなかった自社の魅力が、今日から少しずつ形になり始めます。
よこぜき行政書士事務所


