夜勤の回数を減らしたい、定年後も看護の経験を何かに活かしたいと考え始めた40〜60代の看護師の方も多いのではないでしょうか。

病院を辞めて大きく開業するのではなく、自宅を拠点に小さく起業する方法として「プチ起業」があります。

この記事でいう「在宅」は、自宅を仕事の拠点にするという意味です。

在宅医療の分野で訪問看護ステーションを開業する場合は、指定や人員の基準が関わるため、この記事では扱いません。

ここでは、看護の業務を行わずに、看護師としての経験と知識を活かして、自宅やオンラインで一人で始める事業を取り上げます。

始めやすい5つの型と、始める前に確認しておきたい資格・法律の線引き、自宅を拠点にするときの手順を順に整理します。

結論|看護師のプチ起業は「経験を活かす事業」を小さく試すことから

看護師のプチ起業とは、看護師としての経験や知識を活かした事業を、自宅やオンラインを中心に小さな規模で始めることを指す一般的な呼び方です。

始める前に押さえておきたいのは、次の4点です。

  • 「プチ起業」は規模の呼び方で、事業として始めれば開業届などの手続きは通常の開業と同じように考えます
  • 在宅で始めやすいのは「教える」「書く」「相談に乗る」「作って売る」「発信する」の5つの型です
  • 始める前に「勤務先の規則」「資格と法律の線引き」「販売や広告のルール」の3点を確認します
  • 手続きは開業届だけではなく、青色申告の承認申請のように期限が異なるものや、扱う商品やサービスによって必要な許可・届出もあるため、お試しで提供する前に確認します

以下、この4点を順に詳しく見ていきます。

プチ起業を始める前に知っておきたい3つのこと

具体的な事業を選ぶ前に、プチ起業という言葉の意味、看護師の資格との関係、退職後も続く義務の3つを整理しておきます。

この3つを先に押さえておくと、後で「始めてから気づいた」というつまずきを減らせます。

「プチ起業」は規模の呼び方|事業として始めれば手続きは通常の開業と同じ

「プチ起業」は、事業の規模が小さいことを表す呼び方です。

規模が小さくても、事業として始めれば、税金や届出の扱いは通常の開業と同じように考えます。

たとえば税務署への「個人事業の開業・廃業等届出書」(開業届)は、事業所得などを生ずべき事業を始めた方が提出するもので、期限は事業を始めた年分の確定申告期限までです(所得税法第229条、国税庁「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」)。

期限が土・日曜日・祝日等にあたる場合は、その翌日が期限になります(同ページ)。

副業として小さく始めた収入は、収入の区分によって手続きが変わることがあるため、迷う場合は税務署に確認しておくと安心です。

開業届のほか、健康保険・年金の切り替えや看護職としての届出など、個人で働くときの手続きは、フリーランス看護師とは|業務委託・派遣との違いと契約の注意点で整理しています。

小さく始めて様子を見るという考え方そのものについては、スモールビジネスとは|40〜60代の小さな起業をわかりやすく解説も参考になります。

看護師の免許で「行う」事業と、経験を「活かす」事業を分けて考える

看護師のプチ起業を考えるときは、免許が関わる範囲を先に確認しておくと整理しやすくなります。

保健師助産師看護師法では、看護師を、傷病者やじょく婦に対する「療養上の世話」または「診療の補助」を行うことを業とする者と定めています(第5条)。

また、主治の医師または歯科医師の指示がある場合を除いて、医薬品について指示をするなど、医師または歯科医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはならないとされています(第37条)。

ただし、臨時応急の手当などはこの限りでないとされています(同条ただし書)。

さらに医師法では、医師でなければ医業をなしてはならないと定めています(医師法第17条)。

このため、看護師のプチ起業は、看護の業務として何かを「行う」事業と、看護の経験を「活かす」事業に分けて考えると整理しやすくなります。

本記事で扱うのは後者で、講座・執筆・相談・ものづくり・発信のように、看護の業務を伴わない形で経験を役立てる事業です。

看護師の資格でできること・できないことの全体像は、看護師の起業|経験を活かせる事業と資格でできること・できないことで詳しく解説しています。

退職後も続く守秘義務と、「看護師」という名称の扱い

プチ起業で発信や講座を考えている方は、守秘義務と名称の扱いを確認しておきましょう。

保健師、看護師または准看護師は、正当な理由なく業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならず、看護師等でなくなった後も同様とされています(保健師助産師看護師法第42条の2)。

勤務先で出会った患者さんやご家族の話は、名前を伏せていても、時期や病棟、出来事の組み合わせで本人が分かってしまうことがあります。

経験談を講座やブログで使う場合は、特定の方の出来事としてではなく、一般化した形に置き換えて伝えると安心です。

また、看護師でない者は看護師またはこれに紛らわしい名称を使用してはならず、准看護師についても同じ定めがあります(同法第42条の3第3項・第4項)。

プロフィールや肩書きには、お持ちの免許の名称を正確に書きましょう。

在宅・自宅で始めやすいプチ起業の5つの型

ここでは、在宅で始めやすい看護師のプチ起業を、説明の便宜上、何を提供するかで5つの型に分けて紹介します。

それぞれの型で、看護の経験がどう生きるか、始める前に何を確認したいかをあわせて整理します。

① 教える|オンライン講座・研修講師・勉強会

看護の現場で身につけた知識を、講座や勉強会の形で伝える型です。

テーマとしては、介護が始まったご家族向けの講座、看護学生や新人看護師向けの勉強会、地域の健康講座などが考えられます。

たとえば、退院支援やご家族への説明を長く担当してきた60代の方であれば、親の介護に直面した同世代に向けて、在宅介護の準備をテーマにした講座を開く形も考えられます。

オンラインで行う場合は、ビデオ会議のツールと、受講料を受け取る方法を準備します。

ウェブサイトやメールなどで講座の申込みを受け付ける場合は、後述する特定商取引法の通信販売の表示もあわせて確認しておきましょう。

講座の中で個別の症状について判断を求められたときは、その場で答えず、医療機関の受診をすすめる進め方をあらかじめ決めておくと安心です。

② 書く|医療・健康分野の執筆・監修

医療・健康分野の記事の執筆や監修、看護学生向け教材の原稿づくりなど、文章で経験を活かす型です。

複数の診療科を経験してきた方は、扱えるテーマの幅そのものが強みになります。

企業やメディアから業務委託の形で受ける場合は、契約の条件や報酬の支払い時期を事前に確認しておく必要があります。

監修として名前を出す場合は、記事の内容の正確さに一定の責任を持つ立場になります。

ご自身の経験の範囲を超えるテーマは引き受けないと決めておくことも、長く続けるための判断の一つです。

執筆の題材に臨床での経験を使う場合も、前述の守秘義務が関わります。

③ 相談に乗る|健康相談・介護や暮らしの相談

看護の現場で培った、話を聴き、必要な窓口へつなぐ経験を活かす型です。

たとえば、介護が始まったご家族の相談、病院のかかり方や受診の準備についての相談、仕事と介護の両立の相談などが考えられます。

一方で、相談の中で症状から病名を見立てたり、治療や薬の使い方を指示したりすることは、医業や保健師助産師看護師法第37条の行為にあたるおそれがあります。

相談サービスの説明には、診断や治療の判断は行わないこと、必要に応じて医療機関の受診をすすめることを、あらかじめ書いておくと誤解を防げます。

医学的な判断が必要な相談は、医師や医療機関につなぐ流れを決めておきましょう。

相談者の個人情報や相談内容をどう記録し、どう保管するかも、始める前に決めておきます。

④ 作って売る|教材・ハンドメイド・健康関連の商品

自作の教材やハンドメイドの品など、ものを作って販売する型です。

介護の記録ノートや講座のテキスト、看護の現場で「あったら便利だった」と感じた小物などが考えられます。

健康に関わる商品を紹介するときは、効果の表示に注意が必要です。

医薬品医療機器等法では、医薬品や化粧品などの効能・効果について、虚偽または誇大な広告が禁じられています(第66条第1項)。

承認を受けていない医薬品などの効能・効果を広告することも禁じられています(第68条)。

健康食品や雑貨として販売する商品でも、病気への効果をうたう表現は避けましょう。

石けんやアロマ製品などを手作りして販売する場合は、化粧品にあたるかどうかの確認が必要です。

都道府県の案内では、化粧品を国内で製造して販売・授与するには、通常、化粧品製造業と化粧品製造販売業の許可が必要とされており、化粧石鹸も化粧品の例に挙げられています(岡山県「化粧品を製造・製造販売される方へ」)。

手作りの食品を販売する場合も、食品衛生法に基づく営業許可や営業届出が関わることがあります。

どの許可が必要かは、何を作り、どう売るかで変わるため、作り始める前に都道府県の薬務担当や保健所の窓口に確認してください。

⑤ 発信する|ブログ・SNS・動画

看護の経験や知識を、ブログ・SNS・動画で発信する型です。

発信そのものから広告収入を得る方法のほか、講座や執筆の依頼につながる入口として発信を続ける方法もあります。

発信の題材にも、前述の守秘義務が関わります。

また、令和5年10月1日から、広告であることが一般消費者に分からない表示(いわゆるステルスマーケティング)は景品表示法の規制の対象になっています(消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」)。

規制の対象は広告主である事業者とされていますが、企業から依頼を受けて商品を紹介する投稿は、その企業の広告にあたる場合があります。

依頼を受けた投稿には、広告であることが分かる表示をしておくと安心です。

ご自身のサービスについて、モニターの方などに依頼して感想を投稿してもらう場合も、ご自身が広告主にあたることがあるため、依頼した投稿であることが分かるようにしておきましょう。

さらに、化粧品や医薬品などの効能・効果について、医師その他の者が保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告することは、虚偽・誇大な広告にあたるものとされています(医薬品医療機器等法第66条第2項)。

看護師という肩書きを添えて化粧品や健康関連の商品をすすめる投稿は、この点に注意が必要です。

5つの型の比較表

5つの型の特徴と、始める前に確認したいことを表にまとめます。

型主な形看護の経験の生かし方始める前に確認したいこと
① 教えるオンライン講座・研修講師・勉強会新人指導やご家族への説明の経験ネットなどで申込みを受け付ける場合の通信販売の表示(特定商取引法)
② 書く記事の執筆・監修臨床の知識と、複数の診療科での経験業務委託の契約条件、守秘義務
③ 相談に乗る健康・介護・暮らしの相談話を聴き、必要な窓口へつなぐ経験診断や治療の判断を伴わない設計(医師法・保健師助産師看護師法)
④ 作って売る教材・ハンドメイド・健康関連の商品現場で感じた不便さ効果の表示(医薬品医療機器等法)、化粧品・食品を扱う場合の許可
⑤ 発信するブログ・SNS・動画経験を一般化して伝える力守秘義務、広告であることの表示(景品表示法)、肩書きを添えた商品の推奨(医薬品医療機器等法)

表の「確認したいこと」は入り口であり、実際に必要な手続きは扱う内容によって変わります。

なお、マッサージやフットケアなどの施術を伴う自宅サロンは、別の免許や線引きの論点があるため、この記事では扱っていません。

在宅でプチ起業を始める6つの手順

ここからは、在宅で看護師のプチ起業を始めるまでの流れを、6つの手順に分けて整理します。

在職中に準備を始める方も、退職後に始める方も、順に確認していくことで抜けを減らせます。

1. 在職中なら、勤務先の就業規則と兼業の扱いを確認する

在職中に準備を始める場合は、まず勤務先の就業規則で、副業・兼業の扱いを確認します。

届出が必要か、許可が必要か、禁止されている業務があるかは、勤務先によって異なります。

自治体が運営する病院などで公務員として働いている方は、自ら営利企業を営むことや、報酬を得て事業や事務に従事することについて、法律で許可や承認が必要とされています(地方公務員法第38条、国家公務員法第103条・第104条)。

非常勤の職員の一部はこれらの規定の対象から外れるなど、勤務の形態によって扱いが異なるため、所属先の人事担当に確認しておきましょう。

在職中に副業として準備する場合の注意点は、正社員が「副業」を始める前に知っておきたい7つの注意点でも解説しています。

2. 経験を棚卸しして、届ける相手を絞る

次に、これまでの看護の経験を書き出します。

経験した診療科、長く担当した業務(新人指導、退院支援、ご家族への説明、委員会活動など)、人から頼られることが多かった説明などを並べてみます。

そのうえで、その経験が役立ちそうな相手を一人思い浮かべ、その方がどんな場面で困っているかを言葉にします。

相手が具体的になるほど、講座のテーマや記事の切り口、相談の内容を決めやすくなります。

3. 資格と法律の線引きを確認して、提供する内容を決める

提供したい内容の案ができたら、一つずつ、看護の業務や医業にかかわらないかを確認します。

判断の目安は、前述の「看護師の免許で『行う』事業と、経験を『活かす』事業」の区別と、5つの型の比較表です。

迷う内容は、提供するメニューから外すか、所管の窓口に確認してから加えます。

決めた内容は、サービスの説明に「できること」と「行わないこと」の両方を書いておくと、利用する方との誤解を防げます。

4. 自宅を拠点にする準備|場所・住所の表示・道具

自宅を事業の拠点にする場合は、場所・住所の表示・道具の3つを準備します。

賃貸住宅や分譲マンションでは、契約や管理規約で、住居以外の使い方に決まりがある場合があります。

自宅に人を招いて講座や相談を行う場合は、特に事前に確認しておきましょう。

ウェブサイトやメールなどで講座や教材の申込みを受け付ける場合は、特定商取引法の通信販売の広告に関するルールを確認しておきます。

同法では、郵便や電話、インターネットなど法令で定める方法で契約の申込みを受けて行う販売や役務の提供を、電話勧誘販売にあたるものを除いて、通信販売としています(特定商取引法第2条第2項、特定商取引に関する法律施行規則第2条)。

通信販売の広告には、販売価格や代金の支払時期・方法などの表示が求められています(特定商取引法第11条)。

事業者の氏名(名称)、住所、電話番号も、表示する事項として定められています(特定商取引に関する法律施行規則第23条第1号)。

特定商取引法第11条には、請求があれば遅滞なく書面や電磁的記録で提供する旨を表示した場合に、一部の事項の表示を省略できる定めもあります(同条ただし書)。

省略できる事項や方法は施行規則で細かく定められているため、自宅の住所を広く公開することに抵抗がある方は、消費者庁の特定商取引法ガイドなどで確認しておきましょう。

講座の販売サイトやスキルを売買するサービスを使う場合も、表示の扱いは各サービスの規約で確認します。

道具としては、パソコンと通信環境、ビデオ会議のツール、予約や決済の仕組みを用意します。

5. お試しの前に、開業届・青色申告などの手続きと期限を確認する

お試しで提供を始める前に、関わる手続きとその期限を確認しておきます。

開業届の期限は、前述のとおり、事業を始めた年分の確定申告期限までです。

その年分から青色申告をしたい場合の承認申請は、原則としてその年の3月15日まで、その年の1月16日以後に新たに事業を始めた場合は事業開始の日から2か月以内が期限で、開業届とは期限が異なります(国税庁「所得税の青色申告承認申請手続」)。

お試しの提供が税務上の事業の開始にあたるかどうかで期限の数え方が変わるため、迷う場合は税務署に確認しておきましょう。

このほか、退職したときの健康保険や年金の切り替え、看護職としての届出など、状況に応じて複数の手続きが関わります。

健康保険や年金の切り替えには、退職をきっかけに期限が始まる手続きもあるため、事業の準備とは別に、退職したら早めに確認しておきましょう。

個人として働くときの手続きは、フリーランス看護師とは|業務委託・派遣との違いと契約の注意点で整理しています。

また、開業届とは別に、化粧品や食品を扱う場合など、事業の内容に応じた許可や届出が必要になることがあります。

6. お試しの形で小さく提供し、続けるかを決める

手続きと期限の確認が済んだら、知人やモニターの方に、短い時間・少人数で試しに提供してみます。

受けた方の感想をもとに、内容や時間、価格を調整します。

夜勤のある勤務を続けている40代の方であれば、夜勤明けを作業日にしない、週に使う時間の上限を決めるなど、本業と生活に無理のない範囲を先に決めておくことが大切です。

たとえば3か月など期間を区切って試し、続けるか、形を変えるかを判断する方法もあります。

在宅のプチ起業でつまずきやすい4つの場面とチェックリスト

在宅で一人で始める看護師のプチ起業には、病院勤務の中では起きにくいつまずきがあります。

ここでは、特に気をつけたい4つの場面と、始める前に確認したい項目をまとめます。

相談のつもりが、判断や指示を求められる

健康や介護の相談では、相談者から「この症状は大丈夫か」「薬をやめてもよいか」と判断を求められることがあります。

看護の経験があるほど答えたくなる場面ですが、診断や治療の判断に踏み込まず、医療機関につなぐ対応を徹底しましょう。

経験談として書いた内容から、患者さんが特定される

講座やブログで臨床の経験を語るときは、時期・場所・出来事の組み合わせで個人が分かることがあります。

公開前に、一般化した書き方になっているかを読み直す習慣をつけておくと安心です。

商品やサービスの紹介で、効果を言い切ってしまう

「よく眠れる」「むくみが取れる」といった効果を言い切る表現は、商品によっては表示のルールに抵触するおそれがあります。

効果を伝えたいときほど、根拠と表現を見直しましょう。

時間と体力の上限を決めずに始める

本業と家庭の合間に始めるプチ起業は、少しずつ時間が増えていきがちです。

始める前に、週に使う時間の上限と、続けるかを判断する時期を決めておきましょう。

始める前のチェックリスト

  • 勤務先の就業規則(公務員の場合は兼業の許可・承認)を確認した
  • 提供する内容が、診断や治療の判断を伴わないことを確認した
  • サービスの説明に、できることと行わないことを書いた
  • 講座や発信の題材から、特定の患者さんが分からないようにした
  • 商品やサービスの紹介で、病気への効果を言い切っていない
  • 化粧品や食品などを扱う場合は、必要な許可を窓口で確認した
  • 開業届と、青色申告を希望する場合の承認申請の期限を確認した
  • ネットなどで申込みを受け付ける場合の表示事項を確認した
  • 依頼した感想やPRの投稿は、広告であることが分かるようにした
  • 週に使う時間の上限と、続けるかを判断する時期を決めた

よくある疑問

看護師のプチ起業について、よく寄せられる疑問に答えます。

Q. 看護師のプチ起業に開業届は必要ですか?

事業所得などを生ずべき事業を始めた方は、税務署に開業届を提出します(所得税法第229条)。

期限は事業を始めた年分の確定申告期限までで、期限が土・日曜日・祝日等にあたる場合はその翌日です。

その年分から青色申告をしたい場合の承認申請は期限が別で、原則としてその年の3月15日まで、1月16日以後に新たに事業を始めた場合は事業開始の日から2か月以内です。

副業として小さく始めた場合は、収入の区分によって手続きが変わることがあるため、迷うときは税務署に確認しましょう。

開業届のほかの手続きは、フリーランス看護師とは|業務委託・派遣との違いと契約の注意点で整理しています。

Q. 准看護師でもプチ起業できますか?

本記事で紹介した5つの型は、看護の業務を伴わずに経験を活かす事業のため、准看護師の方も同じように検討できます。

ただし、准看護師の方が「看護師」またはこれに紛らわしい名称を使うことはできないため(保健師助産師看護師法第42条の3第3項)、肩書きには「准看護師」と正確に書きましょう。

Q. 看護師が一人で開業できる仕事はありますか?

本記事で紹介した5つの型は、自宅から一人で始められるものが中心です。

訪問看護ステーションのように、指定を受けて保険の仕組みで運営する事業には人員などの基準があり、一人で小さく始める形とは前提が異なります。

事業ごとの違いは、看護師の起業|経験を活かせる事業と資格でできること・できないことで整理しています。

Q. 在職中に始めても大丈夫ですか?

在職中に始める場合は、まず勤務先の就業規則で副業・兼業の扱いを確認してください。

公務員として働いている方は、営利企業を営むことや報酬を得て事業に従事することなどについて、法律で許可や承認が必要とされています。

非常勤の職員の一部は対象から外れるなど、勤務の形態によって扱いが異なるため、所属先の人事担当に確認しましょう。

Q. プチ起業でどのくらいの収入が見込めますか?

収入は、提供する内容の単価、提供できる回数、使える時間によって決まるため、一律の目安を示すことは難しいです。

最初は、続けられる時間の範囲で、どの単価なら成り立つかを試算し、本業の収入を前提に小さく試していく方法が考えられます。

まとめ

看護師のプチ起業について、在宅で始めやすい型と始める手順を整理しました。

主なポイントは次のとおりです。

  • 看護師のプチ起業は、看護の業務を「行う」事業と、経験を「活かす」事業を分けて考えると整理しやすい(本記事は後者が対象)
  • 在宅で始めやすいのは「教える」「書く」「相談に乗る」「作って売る」「発信する」の5つの型
  • 始める前に、勤務先の規則、資格と法律の線引き、販売や広告のルールを確認する
  • 手続きは開業届だけではなく、青色申告の承認申請のように期限が異なるものや、扱う内容によって必要な許可・届出もあるため、お試しで提供する前に確認する

まずは、これまでの看護の経験を書き出し、その経験が役立ちそうな方を一人思い浮かべるところから始めてみてはいかがでしょうか。


※本記事は2026年10月時点の法令に基づき作成しています。

法令や制度の最新の内容は、e-Gov法令検索や各省庁・都道府県の公式サイトでご確認ください。

個別の事案については、所管の窓口や専門家へのご確認をおすすめします。

よこぜき行政書士事務所