50代になり、「この働き方をあと何年続けられるだろう」と考え始めた看護師の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

夜勤のつらさ、親の介護、60歳の定年が見えてきたことなど、きっかけは人それぞれです。

働き方を変える方法は、転職だけではありません。

この記事では、50代の看護師・准看護師の方に向けて、これからの働き方を4つの選択肢に分けて整理し、選ぶ前に確認したい制度を紹介します。

先に要点をまとめると、次の3つです。

  • 仕事に就いている看護師の約3人に1人は、病院以外の場所で働いています
  • 50代からの働き方は、「今の職場で変える」「病院以外に移る」「資格と経験を臨床以外で使う」「起業・独立する」の4つに分けて考えられます
  • 定年と継続雇用、介護との両立、派遣の制限、准看護師の業務の範囲など、選ぶ前に確認しておきたい制度があります

50代の看護師が働き方を見直し始める背景

50代は、看護師としての経験が長くなる一方で、体力や家族の事情、定年といった変化が重なりやすい時期です。

まずは公的なデータから、看護師がどこで働いているのかを確認します。

そのうえで、55歳以上の看護職を対象にした国の事業の調査から、定年前後の働き方に関する結果を紹介します。

仕事に就いている看護師の約3人に1人は、病院以外で働いている

厚生労働省の衛生行政報告例によると、2024年末時点で仕事に就いている看護師は1,363,142人でした。

就業場所別にみると、病院で働く看護師は895,944人で、全体の65.7%です。

残りの約3人に1人は、診療所(14.3%)、介護保険施設等(7.9%)、訪問看護ステーション(6.7%)など、病院以外の場所で働いています。

出典:厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」(2025年7月29日公表、2024年末現在)表2

※この数値は、就業している看護師などが就業地の都道府県知事に届け出た内容を取りまとめたものです(同概況「衛生行政報告例の概要」)。

※「介護保険施設等」には、介護老人保健施設、介護医療院、指定介護老人福祉施設、居宅サービス事業所、居宅介護支援事業所などが含まれます(同表の注)。

※病院以外の割合は、同表の実人員から算出しました。

この就業場所の内訳は全年齢の数字で、50代の方に限った内訳ではありません。

なお、同じ概況の表3の年齢階級別の人数を合計すると、50歳以上の看護師は436,760人で、就業看護師の約32.0%にあたります。

夜勤・体力・家族の事情・定年が重なる時期

50代になると、夜勤明けの疲れが以前より抜けにくくなったと感じる方もいらっしゃいます。

親の介護や通院の付き添いが始まり、これまでと同じシフトで働くことが難しくなる場合もあります。

60歳の定年や、その後の働き方が具体的に見えてくるのもこの時期です。

こうした変化が重なると、「このまま続けるか、何かを変えるか」を考えるきっかけになります。

55歳以上の看護職への調査から見えること

厚生労働省の看護職員確保対策特別事業として行われた「55歳以上の看護師等の就業促進に係る好事例収集事業」では、55歳以上の看護職2,210人がWebアンケートに回答しています(調査期間は2023年9月15日〜10月16日)。

最終的に仕事を辞めるだろうと考えるおおよその年齢を尋ねた設問では、回答の平均が67.0歳で、65歳以上と答えた人が81.8%でした。

定年年齢前の1,520人に、現在の職場から継続雇用制度(再雇用・勤務延長)の説明があったかを尋ねた設問では、「なかった」が64.8%、「あった」が23.9%、「覚えていない」が11.3%でした。

同じ1,520人に定年時に継続雇用を希望するかを尋ねた設問では、「分からない」が39.4%で最も多く、「継続雇用制度(再雇用・勤務延長)は希望しない」が22.2%、「再雇用制度を希望したい」が20.1%、「勤務延長制度を希望したい」が18.3%でした。

出典:株式会社日本能率協会総合研究所「令和5年度 看護職員確保対策特別事業 55歳以上の看護師等の就業促進に係る好事例収集事業 報告書」(令和6年3月、厚生労働省ホームページ掲載)問19・問21-2・問21-3

この調査は、施設・事業所の団体や職能団体を通じて協力を依頼したもので、回答者の勤務先は介護サービス施設・事業所が35.3%、看護師等学校養成所が33.8%、医療機関が30.3%でした。

回答者の勤務先の構成をふまえ、55歳以上の看護職の声の一つとして参考にしてください。

50代の看護師が考えたい4つの選択肢

看護師の50代からの働き方は、大きく4つの方向に分けて考えることができます。

この4つは本記事での説明の便宜上の整理で、公的な分類ではありません。

1つだけを選ぶ必要はなく、「今の職場で夜勤を減らしながら、講師の仕事を少しずつ始める」のように組み合わせることもできます。

① 今の職場で働き方を変える

職場を変えずに、働き方の中身を変える方法です。

慣れた職場のまま、人間関係や仕事の進め方を大きく変えずに負担を調整できる点が特徴です。

たとえば、次のような方法があります。

  • 夜勤の回数を減らす、夜勤のない勤務に切り替える
  • 外来や地域連携の部門など、日勤中心の部署へ異動する
  • 常勤から短時間勤務や非常勤に切り替える
  • 新人教育、退院支援、感染対策など、経験を活かす役割を担う

夜勤の回数や免除、部署の異動、雇用形態の変更の扱いは、勤務先の就業規則や人事制度で定められています。

家族の介護をしている方には、育児・介護休業法に基づく制度もあります。

要介護状態にある対象家族(配偶者、父母、子、祖父母、兄弟姉妹、孫、配偶者の父母)を介護する労働者が請求した場合、事業主は、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、午後10時から午前5時までの深夜に働かせてはならないとされています(深夜業の制限)。

請求は、制限を始めたい日の1か月前までに書面などで行い、1回につき1か月以上6か月以内の期間で、回数の制限なく利用できます。

ただし、日々雇用される方、継続して雇用された期間が1年未満の方、1週間の所定労働日数が2日以下の方、所定労働時間のすべてが深夜にある方、深夜に介護ができる16歳以上の同居の家族がいる方は対象外とされています(厚生労働省「深夜業の制限」)。

2025年4月からは、介護に直面したことを申し出た労働者に対し、事業主が両立支援の制度を個別に知らせ、利用の意向を確認することも義務になりました(育児・介護休業法第21条第4項)。

公立病院などで公務員として働いている方は、条例や規則で深夜勤務の制限などが定められていることがあるため、勤務先の規程で確認してください。

② 病院以外の職場に移る

看護師の資格をそのまま使い、働く場所を病院から変える方法です。

前の章で見たとおり、病院以外の場所でも多くの看護師が働いています。

次の表は、衛生行政報告例の就業場所の区分に沿って、主な仕事の例と、移る前に確認したい点をまとめたものです。

就業場所(衛生行政報告例の区分)就業看護師に占める割合主な仕事の例確認したい点
診療所14.3%外来での診療の補助、検査・処置の介助入院用のベッドの有無、土曜や夜間の診療の有無
介護保険施設等7.9%介護老人保健施設、介護医療院、特別養護老人ホーム、居宅サービス事業所などでの健康管理夜勤・オンコールの有無、看護職員の人数
訪問看護ステーション6.7%利用者の自宅での看護オンコールの有無と回数、同行訪問などの研修
社会福祉施設2.1%施設の利用者の健康管理看護職員の人数、体調が急に変わったときの連絡体制
看護師等学校養成所又は研究機関1.2%看護学生への講義や実習の指導教員としての要件、実習期間中の勤務
市区町村0.6%健診や健康相談保健師の資格を求める募集かどうか
事業所0.4%企業の健康管理室などでの健康管理保健師の資格を求める募集かどうか

※割合は、就業看護師1,363,142人に占める実人員の割合です(全年齢・2024年末現在)。

同じ区分の職場でも、施設の種類や規模、看護職員の人数によって、働き方は大きく異なります。

表の「確認したい点」は、求人票や見学、面接の場で一つずつ確かめていくための目安としてご活用ください。

③ 看護師の資格と経験を、臨床以外で使う

看護師のセカンドキャリアとして、患者さんへの直接の看護から離れ、資格や経験を別の形で活かす方法もあります。

いくつか例を挙げます。

  • ケアマネジャー(介護支援専門員): 看護師・准看護師としての業務に従事した期間が通算5年以上かつ900日以上あることが、試験の受験資格の一つとされています。試験に合格した後、実務研修の修了と都道府県への登録などが必要です
  • 看護教員: 看護師等養成所の専任教員には、厚生労働省の指導ガイドラインで要件が定められています
  • 企業の健康管理・健康相談: 企業の健康管理室などで働く方法で、募集によっては保健師の資格を条件とするものもあります
  • 講師・執筆: 介護職員向けの研修の講師や、医療・介護分野の記事の執筆などです

ケアマネジャーの受験資格に数える実務経験は、資格の登録日以降のものに限られ、要援護者への直接的な援助が本来の業務として位置づけられていることなどの条件もあります。

受験する都道府県の試験要項で、ご自身の経験が対象になるかを確認してください。

看護師の資格を要件としない仕事を選ぶ方法もあります。

看護以外の仕事も含めて、50代からの仕事を広く比べたい方は、女性が50代から一生できる仕事とは?長く働ける職種の見つけ方で整理しています。

資格を要件としない仕事に移る場合は、給与の水準や手当の仕組みが、看護師として働く場合と大きく変わることがある点も、あらかじめ知っておきたいところです。

④ 起業・独立する

看護の経験を活かして、自分で事業を始める方法です。

看護師の起業は、法律との関わり方で見ると、次の4つの型に分けて整理できます。

  • 訪問看護ステーションなど、資格と保険制度を使う事業
  • フリーランス・業務委託など、個人として看護の仕事を受ける働き方
  • サロン・健康サービスなど、施術の内容によって別の免許が関わる事業
  • 講師・執筆・カフェなど、看護の経験を別の分野で活かす事業

たとえば、訪問看護ステーションを介護保険の指定を受けて開設する場合は、法人での申請と、看護職員を常勤換算で2.5以上(うち1名は常勤)置くといった人員の基準が前提になります。

契約の名称が業務委託でも、実際の働き方によっては、労働基準法などの労働関係の法律が適用されます。

看護師個人が医療機関などと直接、業務委託の契約を結んで働く場合は、契約の名称にかかわらず、業務の指揮監督を受けて働いているか、報酬がその労働の対価として支払われているかなどの実態から、労働基準法上の労働者に当たるかが判断されます。

一方、別の事業主に雇用されている看護師が、就業先の指揮命令を受けて働く場合は、事業者どうしの契約の名称が業務委託や請負であっても労働者派遣に当たり、医療関係業務の派遣の制限が関わることがあります(労働者派遣法第2条第1号、労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準)。

ご自身が看護師を雇って医療機関などで働いてもらう事業を考える場合も、この点を確認しておく必要があります。

起業は選択肢の一つであり、誰にとっても最適な道というわけではありません。

事業の型ごとの法律の線引きや、40〜60代の方が起業を考えるときの論点は、看護師の起業|経験を活かせる事業と資格でできること・できないことで整理しています。

4つの選択肢を比べる

4つの選択肢を、主に変わるものと確認先で比べると、次のようになります。

選択肢主に変わるもの主な確認先準備の進め方の例
① 今の職場で変える勤務時間・部署・雇用形態・役割就業規則、人事担当、上司希望を整理し、面談などで相談する
② 病院以外に移る職場・仕事内容・勤務形態・収入求人票、見学、面接在職中に情報を集め、見学する
③ 臨床以外で使う仕事内容・必要な資格・収入試験要項、資格の要件必要な実務経験や研修を確認する
④ 起業・独立する収入の仕組み・必要な手続き法令、自治体などの窓口事業の型を決め、許可・届出を調べる

この表は説明の便宜上の整理で、実際に変わる内容は、勤務先や事業の内容によって異なります。

選択肢を選ぶ前に確認したい5つのこと

どの選択肢を選ぶにしても、事前に確かめておくと後悔を減らしやすい点があります。

ここでは、50代の看護師の方がとくに確認しておきたい5つを紹介します。

夜勤とオンコールは分けて確認する

「夜勤なし」と書かれた求人でも、夜間の対応がまったくないとは限りません。

訪問看護ステーションや介護施設などでは、夜勤がなくても、自宅で待機して呼び出しに応じるオンコールを担当する場合があります。

求人票の夜勤の有無だけでなく、オンコールの有無、月の回数、呼び出された場合の対応と手当を確認しておくと安心です。

収入の変わり方を確かめる

働き方を変えると、収入の内訳も変わります。

夜勤をやめれば夜勤手当が、役職を降りれば役職手当がなくなるなど、基本給以外の部分が変わることがあります。

前の章で紹介した55歳以上の看護職への調査では、継続雇用制度で働き続けている人(390人)について、定年前と比べて月額賃金が「減少した」と答えた人が72.1%でした。

同じ報告書では、継続雇用制度で働き続けている人(390人)の仕事の内容について、「定年前とまったく同じ仕事」と答えた人が68.7%でした(同報告書 問25-1・問26-1)。

※月額賃金が減少した人の割合は、報告書の概要では73.2%、本編(問26-1)では72.1%と記載されており、本記事は本編の数値を用いています。

収入を比べるときは、月給の総額だけでなく、基本給、各種手当、賞与、退職金の扱いまで確認しておきたいところです。

定年と継続雇用の仕組み|高年齢者雇用安定法

公務員でない方の定年と、その後の雇用には、高年齢者雇用安定法のルールがあります。

民間の病院や施設のほか、国立病院機構の病院や国立大学法人の附属病院のように、運営主体が公的でも職員が公務員でない勤務先も、この法律の対象です。

ご自身が公務員にあたるかどうかは、雇用契約書や就業規則、人事担当で確認できます。

事業主が定年を定める場合、その年齢は原則として60歳を下回ることができません(高年齢者雇用安定法第8条)。

定年を65歳未満としている事業主は、65歳までの雇用を確保するため、定年の引上げ、継続雇用制度の導入、定年の定めの廃止のいずれかを講じなければなりません(同法第9条第1項)。

継続雇用制度の対象者を労使協定で限定できる経過措置は2025年3月31日で終了し、2025年4月1日以降は、継続雇用制度を導入する場合は希望者全員が対象になります(厚生労働省「高年齢者雇用安定法の改正」)。

ただし、心身の故障のため業務に堪えられない場合など、就業規則に定める解雇・退職の事由に当たる場合は継続雇用されないことがあり(高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針)、継続雇用後の雇用形態や賃金などの条件は、定年前と同じとは限りません。

なお、同指針では、継続雇用しないことについては、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であることが求められると考えられるとしています。

継続雇用の先は、定年まで働いた勤務先のほか、グループ会社などの関係する事業主になる場合もあります(同法第9条第2項)。

65歳から70歳までの就業機会の確保は、事業主の努力義務とされています(同法第10条の2)。

一方、公立病院などで公務員として働く方には、この法律の定年・継続雇用の規定は適用されません(同法第7条第2項)。

国家公務員の定年は、原則として2023年度から2年に1歳ずつ引き上げられ、2031年度に65歳となる予定です。

地方公務員の定年は、国家公務員の定年を基準として条例で定められます。

ご自身の勤務先の定年年齢と、継続雇用(公務員の場合は再任用など)の制度を、50代のうちに就業規則や人事担当で確認しておくと、選択肢を比べやすくなります。

准看護師の方が確認しておきたいこと

准看護師の方は、選択肢によって、資格の範囲に関わる確認が必要になります。

准看護師は、医師、歯科医師または看護師の指示を受けて、看護師と同じ業務を行う資格と定められています(保健師助産師看護師法第6条)。

就業准看護師の働く場所は、診療所が32.8%、病院が32.7%、介護保険施設等が25.4%で、病院以外で働く人が約3分の2を占めています(衛生行政報告例 表2)。

訪問看護ステーションの管理者は、介護保険の基準では保健師または看護師、健康保険の基準では保健師、助産師または看護師が務めることとされています(指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準第61条第2項、指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準第3条第2項)。

いずれの基準にも、やむを得ない理由がある場合の例外があります。

准看護師の方が看護師を目指す場合は、看護師学校養成所の2年課程で学び、看護師国家試験に合格する必要があります。

全日制・定時制の2年課程は、高等学校を卒業している方であれば准看護師としての業務経験がなくても入学でき、中学校を卒業している方は3年以上の業務経験が必要です。

働きながら学べる2年課程(通信制)は、2026年4月の入学生から、准看護師として5年(60か月)以上業務に従事していることが入学資格になりました(それまでは7年以上)。

詳しい出願の条件は、志望する養成所の募集要項で確認してください。

出典:公益社団法人日本看護協会「准看護師のための進学特設サイト」、広島県「看護師養成所2年課程(通信制)について」

体力と家族の事情とのバランス

どの選択肢でも、長く続けられるかどうかは、体力と生活に合った働き方かどうかに左右されます。

週に何日、1日何時間なら無理なく続けられるかを先に決めておくと、求人や制度を比べるときの軸になります。

親の介護などがある方は、急な休みや勤務の変更にどこまで対応してもらえるかも、確認しておきたい点です。

ご自身の体調に気になる点がある場合は、医療機関で相談したうえで計画を立ててください。

「失敗パターン」と回避策

働き方を変えるときには、準備の段階で確かめておけば避けられたつまずきもあります。

ここでは、50代の看護師の方が気をつけたい4つのパターンと回避策を紹介します。

「病院以外なら楽になる」と考えて選ぶ

病院以外の職場は、夜勤がない、残業が少ないといったイメージで語られることがあります。

一方で、少人数の職場では、一人で判断する場面が増えたり、看護以外の業務も担当したりすることがあります。

回避策は、求人票の条件だけで判断せず、見学や面接で一日の仕事の流れと、相談できる人がいるかを確かめることです。

定年・継続雇用・退職金の条件を確かめずに辞める

定年の数年前に転職すると、退職金の計算や定年後の雇用の扱いが、勤め続けた場合と変わることがあります。

回避策は、辞める前に、今の職場の退職金規程と継続雇用の制度、転職先の定年と再雇用の制度を並べて比べることです。

「派遣なら病院で自由に働ける」と考える

病院・診療所、介護老人保健施設、介護医療院や、医療を受ける人の居宅(訪問入浴介護を除く)などで行う看護業務は、労働者派遣が原則として禁止されています(労働者派遣法第4条第1項第3号、同法施行令第2条)。

紹介予定派遣、産前産後休業・育児休業・介護休業などで休む職員の代わり、就業の場所がへき地にある場合などは例外とされています。

回避策は、派遣や業務委託の仕事を探すときに、働く場所と契約の形を最初に確認することです。

辞めてから次を考える

退職してから次の働き方を探し始めると、収入のない期間が長くなったり、条件を比べる余裕がなくなったりすることがあります。

回避策は、在職中に情報を集め、見学や相談を済ませておくことです。

なお、病院などを離職したときは、住所・氏名などを都道府県ナースセンターに届け出るよう努めることとされています(看護師等の人材確保の促進に関する法律第16条の3)。

今日から始められる小さな一歩

働き方を変えるかどうかを決める前にも、できることがあります。

いきなり退職や転職を決めるのではなく、情報を集めて確かめるところから始めてみてはいかがでしょうか。

  1. 経験を書き出す: 担当してきた診療科、役割、新人指導の経験、取得した資格を一覧にしてみる
  2. 勤務先の規程を読む: 就業規則の夜勤・異動・雇用形態の変更、定年と継続雇用、退職金の規程を確認する
  3. 気になる職場の情報を集める: 見学できる職場を探し、都道府県ナースセンターの無料の職業紹介や、再就業の相談、研修の情報も見てみる

在職中に副業として小さく試してみたい方は、勤務先の就業規則で副業・兼業の扱いを確認しておきましょう。

確認しておきたい点は、正社員が「副業」を始める前に知っておきたい7つの注意点で整理しています。

公立病院などで公務員として働く方は、兼業に任命権者の許可などが必要な場合があります。

よくある疑問

50代の看護師の方が働き方を考えるときに、気になりやすい点をまとめました。

本文で説明した例外や条件は、ここでも同じように当てはまります。

Q. 50代から病院以外の職場に移るのは遅いですか?

移れるかどうかは、年齢だけで決まるものではありません。

応募先が求める経験や勤務条件と、ご自身の希望が合うかどうかが大切です。

病棟や外来で積み重ねた経験は、訪問看護や介護施設など、病院以外の職場でも活かせる場面があります。

Q. 看護師を辞めて違う仕事に就いたら、免許はどうなりますか?

看護師の免許は看護師籍への登録によって与えられるもので(保健師助産師看護師法第12条第3項)、看護の仕事を離れても、免許の取消しなどの処分を受けた場合を除き、免許を持ち続けたまま看護の仕事に戻ることができます。

業務に従事している看護師には、2年ごとに、その年の12月31日現在の状況を翌年1月15日までに就業地の都道府県知事へ届け出る業務従事者届があります(保健師助産師看護師法第33条)。

2026年は、この届出の年にあたります。

看護の仕事を離れたときは、都道府県ナースセンターに住所・氏名などを届け出るよう努めることとされています(看護師等の人材確保の促進に関する法律第16条の3)。

Q. 准看護師でも病院以外で働けますか?

准看護師の方も、病院以外の職場で働くことができます。

就業准看護師では、病院で働く人が32.7%で、診療所(32.8%)や介護保険施設等(25.4%)で働く人も多くなっています(衛生行政報告例 表2)。

准看護師は医師・歯科医師・看護師の指示を受けて業務を行う資格のため(保健師助産師看護師法第6条)、移る先で誰から指示を受ける体制になっているかも確認しておくと安心です。

Q. 60歳で定年になった後も、看護師として働けますか?

公務員でない方の勤務先で、定年を65歳未満としている場合、事業主には65歳までの雇用確保措置が義務づけられています(高年齢者雇用安定法第9条第1項)。

継続雇用制度の場合、2025年4月1日以降は希望者全員が対象ですが、就業規則の解雇・退職事由に当たる場合などの例外があり、雇用形態や賃金などの条件も変わることがあります。

65歳以降の就業機会の確保は事業主の努力義務で、55歳以上の看護師等に関する施設・事業所調査(755施設・事業所)では、「65歳以降も希望者全員が働くことができる」が28.9%、「希望者のうち基準に該当した者のみ働くことができる」が57.4%、「働くことができない」が13.8%でした(同報告書 問15)。

この施設・事業所調査の回答は、訪問看護ステーション(38.4%)、看護師等学校養成所(24.2%)、介護老人保健施設(21.5%)が中心です。

公立病院などで公務員として働く方は、段階的に引き上げられている定年と、再任用などの制度を勤務先で確認してください。

Q. 転職と起業、どちらを選べばいいですか?

どちらが合うかは、収入をどの程度安定させたいか、どれくらいの準備期間と資金をかけられるかによって変わります。

起業する場合は、事業の型によって法人での申請や許可・届出が必要になることがあるため、まずは全体像を確かめるところから始めるのがおすすめです。

事業の型ごとの全体像は、看護師の起業|経験を活かせる事業と資格でできること・できないことで確認できます。

まとめ

本記事では、50代の看護師の方に向けて、これからの働き方を4つの選択肢に分けて整理しました。

主なポイントは次のとおりです。

  • 仕事に就いている看護師の約3人に1人は病院以外で働いており、准看護師では病院以外で働く人が約3分の2を占めます
  • 50代からの働き方は、「今の職場で変える」「病院以外に移る」「資格と経験を臨床以外で使う」「起業・独立する」の4つに分けて考えられ、組み合わせることもできます
  • 公務員でない方の定年と継続雇用には高年齢者雇用安定法のルールがあり(国立病院機構などの職員を含みます)、公務員の方には別の制度が適用されます
  • 家族の介護をしている方には深夜業の制限などの制度があり(対象となる家族や請求の時期などに条件があります)、病院等での看護業務の派遣は原則として禁止されています(いずれも例外があります)
  • 准看護師の方の2年課程(通信制)の入学資格は、2026年4月の入学生から業務経験5年以上になりました

看護師として積み重ねてきた経験は、働く場所や形を変えても活かせる場面があります。

まずは、ご自身の経験と、勤務先の規程を書き出すところから始めてみてはいかがでしょうか。


※本記事は2026年10月時点の法令・制度・公表資料に基づき作成しています。

制度は改正されることがあるため、最新の情報は厚生労働省やe-Gov法令検索、勤務先の規程などでご確認ください。

個別の労務や手続きの判断については、勤務先の人事担当や公的な窓口、内容に応じた専門家にご確認ください。