はじめに

はじめに

「子育てが一段落して、自分の時間が持てるようになった」

「定年退職を控えて、好きなことで少しでも収入を得たい」

そんな思いから、長年の手仕事の趣味を副業にできないかと考える40〜60代の方が増えています。

ハンドメイド販売は、自宅で自分のペースで取り組める魅力的な選択肢です。

ただし「作れば売れる」というわけではないのも事実です。

この記事では、ハンドメイド副業で売れる作品ジャンル、40〜60代の方が無理なく続けるためのコツ、そして見落とされがちな法律や税金の注意点までを整理してお伝えします。

ハンドメイド副業で「今売れる」作品ジャンル7選

ハンドメイド副業で「今売れる」作品ジャンル7選

ハンドメイド副業で売れる作品には共通点があり、初心者でも参入しやすいジャンルがいくつか存在します。

ここでは、40〜60代の方にもおすすめできる7つのジャンルを、材料費と価格帯の目安とともにご紹介します。

40〜60代の方は、長年の生活経験から「使う側の視点」をお持ちのことが多く、実用性や品質を重視する作品づくりが、若い世代にはない魅力につながりやすいと考えられます。

ジャンル材料費の目安販売価格帯40〜60代の強みを活かせるポイント
アクセサリー(ピアス・ネックレス等)1点 100〜500円1,500〜4,000円落ち着いた大人向けデザイン、軽量素材の選定
レジン作品(キーホルダー等)1点 100〜300円800〜2,500円押し花や和柄など季節感のあるデザイン
布小物(ポーチ・がま口・エプロン)1点 300〜800円1,500〜4,000円ミシン経験を活かした丁寧な縫製
ベビー・キッズ用品(スタイ・スモック)1点 500〜1,000円2,000〜5,000円孫世代向けギフトとしての訴求
編み物・かぎ針作品1点 500〜1,500円2,500〜8,000円手編みならではの温かみ、防寒小物
レザークラフト(キーケース・小物)1点 1,000〜3,000円4,000〜15,000円経年変化を楽しむ大人向け価値観
キャンドル・アロマ雑貨1点 200〜600円1,500〜4,000円落ち着いた香り選び、ギフト需要

迷ったときの出発点としては、材料費を抑えながら多様なデザインを試せるアクセサリーまたは布小物が選ばれやすい傾向にあります。

手元の道具や経験に合わせて、無理のないジャンルから始めるのが続けるコツです。

ハンドメイド副業を始める前に知っておきたい3つの現実

ハンドメイド販売を始める前に、期待値を整えておくことが長く続けるコツです。

ここでは、副業として取り組むうえで知っておきたい3つの現実をお伝えします。

「楽しく稼げる」というイメージだけで始めると、思うように売れなかったときに早々に挫折してしまいがちです。

最初に実態を理解しておくことで、無理のないペースを設計しやすくなります。

月間売上の実態は「5,000円未満」が最多

ハンドメイド副業を始める前に知っておきたい3つの現実

GMOペパボがminne登録作家を対象に行った「ハンドメイド作家における副業調査」(2023年4月公表・副業ハンドメイド作家5,066名対象)によると、1ヵ月あたりの 平均的な売上は5,000円未満が約32%で最多、5,000円〜1万円未満が約16%、1〜2万円未満が約11%、2〜5万円未満が約11%という結果でした。

1万円以上の売上がある方は約30%にとどまります。

ここで注意したいのは、この調査は 「売上」を問うた数値であり、利益や手取りではない という点です。

実際に手元に残る金額は、ここから材料費・送料・梱包資材費・販売手数料を差し引いた額になります。

売上が5,000円であっても、手元に残るのは数百〜数千円程度になるケースも珍しくありません。

同調査では、月10万円以上の売上がある方は週20〜30時間の作業時間を確保しているケースが多いとも報告されています。

「いきなり大きく稼ぐ」のではなく、「お小遣い程度から始めて少しずつ伸ばす」と捉えると、無理なく続けやすくなります。

minneでは流通額・登録作家数が拡大している

オンライン販売の普及により、ハンドメイドマーケットの取扱規模は拡大の傾向にあります。

国内最大級のハンドメイドマーケット「minne byGMOペパボ」では、2023年6月に累計流通額が1,000億円を突破したことが発表されており、2024年の年間流通額は115億円に達したと公表されています(GMOペパボ公式)。

一方で、minneやCreemaに登録する作家・ブランド数も増え続けており(minneの作家・ブランド数は2025年時点で約95万件)、競争も確実に激しくなっています。

少なくともminneに関しては流通額・作家数の両面で拡大が続いていますが、その分、増えている作家の中で自分の作品を選んでもらう工夫がより重要になっています。

「売れる人」と「売れない人」を分ける3つの要素

「売れる人」と「売れない人」を分ける3つの要素

長く売れ続けている作家には、共通する3つの要素があります。

ターゲットの明確化写真の品質継続的な発信です。

技術力よりも、「誰に届けたいかが明確で、その人に伝わる写真と言葉を準備している」ことが売上を大きく左右します。

この点はステップ別の手順で詳しくお伝えします。

40〜60代の方がハンドメイド副業で売れる作品をつくる手順

ここからは、実際に作品をつくって販売するまでの具体的な4ステップをお伝えします。

40〜60代の方ならではの強み——時間の使い方の柔軟さ、落ち着いた感性、人生経験から来る品質へのこだわり——を活かす視点でまとめました。

副業の基本的な考え方については、副業とは|副業の定義から注意点までわかりやすく解説もあわせてご参考ください。

【ステップ1】誰に届けたいかを具体的に決める

【ステップ1】誰に届けたいかを具体的に決める

最初に決めるべきは「誰のための作品か」です。

「20〜40代の女性向け」という曖昧な設定では、デザインも価格も方向性が定まりません。

たとえば「孫の入園祝いを探している50代女性」「軽くて肩が凝らないアクセサリーを求める60代女性」「経年変化を楽しめる革小物を探す40代男性」など、年齢・性別・生活シーン・予算感まで踏み込んで一人の人物像を描くことが効果的です。

40〜60代の作家の方は、ご自身と同世代の方の悩みやニーズを肌感覚で理解できる強みがあります。

「自分と同じ世代の方に向けて作る」という発想も有力な選択肢です。

【ステップ2】競合作家の販売ページとSNSを研究する

販売を始める前に、近いジャンルで売れている作家を10人以上ピックアップして観察する時間を取りましょう。

minneやCreemaで人気順に並べ替えて上位の作品ページを確認したり、Instagramでハッシュタグ検索を行ったりすることで、以下のような共通点が見えてきます。

  • どんな写真の撮り方をしているか(背景・光・小道具)
  • 作品の価格帯はいくらか
  • 商品説明文にはどんなキーワードを入れているか
  • どのくらいの頻度で新作を発表しているか

この観察を抜きに自己流で始めると、「なぜ売れないのか」が分からないまま時間と材料費を消費してしまいがちです。

【ステップ3】試作→撮影→販売の小さなサイクルを回す

【ステップ3】試作→撮影→販売の小さなサイクルを回す

いきなり大量の在庫をつくらず、3〜5点ずつ試作して反応を見るスタイルが向いています。

売れ筋を確認しながら方向性を調整できるため、無駄な材料費を抑えられます。

撮影は、自然光の入る窓際で白い背景紙やシンプルな布を使うだけでも、印象が大きく変わります。

スマートフォンのカメラでも十分な品質が得られる時代ですので、まずは手元の機材で工夫してみてください。

【ステップ4】価格は「材料費+諸経費+制作時間」で考える

価格設定で迷う方が多いのですが、材料費だけを基準にすると赤字に陥りやすいため注意が必要です。

一つの目安として「材料費の3〜5倍」が紹介されることもありますが、minne公式の解説でも、原価には材料費に加えて 道具代・試作費・梱包資材費・販売手数料・送料負担・自分の制作時間(人件費) を含めて考えるよう推奨されています。

たとえば材料費500円・制作時間1時間・梱包と送料の自己負担150円・プラットフォーム手数料約10%を見込むと、利益がほぼゼロになる損益分岐点はおよそ1,500円前後になります。

「申し訳ないから安くする」は、長く続けるうえでは逆効果になりがちです。利益が残らない価格設定では、続けるエネルギーも続きません。

ハンドメイド作品を販売するプラットフォームの種類と特徴

プラットフォームの種類と特徴

ハンドメイド作品を販売できる場所は大きく4タイプに分かれます。

それぞれ特徴が異なるため、ご自身の作品の価格帯やターゲットに合わせて選ぶことが大切です。

各プラットフォームの手数料率や規約は変更されることがあるため、実際に出品する際は必ず各サービスの公式情報を確認してください。

ハンドメイド専門マーケット(minne・Creema・iichi)

ハンドメイド購入意欲の高い利用者が集まるマーケットで、作品の価値を理解してくれる層に届きやすいのが特徴です。

2026年5月時点の販売手数料は、以下の通りです(各社公式情報)。

  • minne: 注文(作品価格+オプション+送料)に対して税込10.659%(PLUS非会員・2025年11月改定)
  • Creema: 決済総額(作品代金+オプション+ラッピング+送料)に対して税込10.67%(作品・素材販売・2025年11月5日改定)、フード販売は15.4%(税込)
  • iichi: 成約手数料20%

minne・Creemaともに、2025年11月以降は送料を含めた決済総額に対して手数料がかかる仕組みに変更されています。

そのため、送料設定や販売価格を改めて見直すことが推奨されます。一点物や少し高めの価格帯の作品に向いた販売場所です。

フリマアプリ(メルカリ・ラクマ)

利用者数は最大規模で集客力が強い一方、価格を抑えた商品が多く競争が激しい場所です。

低〜中価格帯の作品で「とにかく多くの人の目に触れたい」という方に向いています。

自作ECショップ(BASE・STORES等)

自分の店舗を無料で開設できるサービスで、デザインや世界観を自由に作り込めるのが魅力です。

ただし集客は自分で行う必要があるため、SNS発信と合わせて運用する前提になります。

手作り市・委託販売(対面販売)

地域の手作り市や雑貨店への委託販売は、実物を見てもらえる強みがあります。

40〜60代の方にとって、対面で作品の魅力を伝えやすい場でもあります。

出店料や委託手数料は会場・店舗により異なります。

ハンドメイド副業で押さえておきたい法律と税金

「趣味の延長」と思っていても、販売した瞬間から事業としての注意点が発生します。

トラブルを避けるため、最低限おさえておくべきポイントを整理します。

法律や税制は改正されることもあるため、最新の情報は公的機関のウェブサイトでご確認いただくか、個別の事案については専門家へのご相談を推奨します。

著作権・商標権(キャラクター・ブランド名の流用は不可)

著作権・商標権(キャラクター・ブランド名の流用は不可)

人気アニメや漫画のキャラクター、有名ブランドのロゴ、企業の商標を使った作品の無断販売は著作権法・商標法に違反する可能性が高い行為です。

「個人のハンドメイドだから大丈夫」「少量だから問題ない」という認識は誤りで、販売した時点で商用利用にあたります。

「○○風」「○○っぽいデザイン」といった表記も、商標やブランドイメージを利用する目的があれば問題視される場合があります。

オリジナルデザインを心がけることが大切です。

特定商取引法に基づく表記(ネット販売の必須項目)

特定商取引法に基づく表記(ネット販売の必須項目)

ネット上で事業として継続的に作品を販売する場合、特定商取引法に基づく表記が求められます。

販売者の氏名・住所・連絡先・返品条件などの記載が必要とされる項目です。

minneやCreemaなどのマーケットでは、プラットフォーム側で表記の枠が用意されていますが、内容を正しく記入するのは出品者自身の責任です。

素材表示と消費者保護(金属アレルギー・PL法の基本)

アクセサリーに使う金属(ニッケル等)はアレルギーを起こす方がいるため、使用素材を明記するのが基本です。

「サージカルステンレス使用」「ニッケルフリー」など、安心して購入できる情報を提供しましょう。

製造物責任法(PL法)は製品の欠陥で消費者が被害を受けた場合の責任を定めた法律で、ハンドメイド作品も対象に含まれ得ます。

安全に配慮した素材選びと、表示の正確性を意識することが大切です。

確定申告と住民税

確定申告と住民税

会社員の方の場合、副業所得が年間20万円を超えると所得税の確定申告が必要とされています(令和7年度税制改正後も20万円ルール自体は維持・国税庁)。

なお、所得税の申告が不要な場合でも、住民税の申告は別途必要となる点に注意が必要です。

専業主婦の方や個人事業主の方は基準が異なり、扶養の範囲や所得控除との関係を含めて判断が必要です。

具体的な申告方法や節税の判断は税理士・税務署の専門領域となります。詳細は最寄りの税務署や税理士へのご相談を推奨します。

なお、会社にお勤めの方で副業を始める前の注意点については、正社員が副業を始める前に知っておきたい7つの注意点および住民税「特別徴収」徹底で副業がバレる?もあわせてご参考ください。

よくあるご質問

ハンドメイド副業を始めようとする40〜60代の方からよくいただく質問を4つまとめました。

Q1: ハンドメイド販売に資格は必要ですか?

多くの作品ジャンルでは、特別な資格は必要ありません。

ただし、以下のジャンルでは行政手続きが必要となる場合があります。

  • 食品(クッキー・ジャム・コンフィチュール等): 食品衛生法上の 営業許可または営業届出 が、食品の種類と製造形態によって分かれます。2021年の食品衛生法改正で営業許可制度の見直しと営業届出制度の創設が行われたため、お住まいの地域の保健所に事前確認するのが確実です
  • 化粧品(リップクリーム・石けん等): 薬機法上の許可・届出が必要となる場合があります

雑貨と思っていたものが該当する場合もあるため、該当ジャンルでは保健所への確認を推奨します。

Q2: 個人事業主の開業届は出した方がよいですか?

副業の所得規模や継続性によって判断が分かれます。

青色申告の節税メリットを受けたい場合は開業届と青色申告承認申請書の提出が必要ですが、規模が小さいうちは雑所得として申告する方法もあります。

判断は税理士や税務署にご相談ください。

Q3: 会社員ですが、副業がバレずに販売できますか?

完全に「バレない」ことを保証する方法はありません。

住民税の徴収方法を「自分で納付(普通徴収)」に切り替える方法がよく知られていますが、自治体の運用や金額により取り扱いが異なる場合があります。

また、就業規則で副業が制限されている場合は、事前に勤務先のルールを確認することが先決です。

Q4: 子育てや介護と両立できますか?

ハンドメイド副業は自分のペースで取り組めることが大きなメリットです。

納期のあるオーダーメイドを多く受けると忙しさに追われがちですが、在庫を持つ販売スタイルなら制作時間を柔軟に調整できます。

家族の状況に応じてペースを変えられる点で、40〜60代の方の生活スタイルに合いやすい副業と言えます。

まとめ

まとめ

ハンドメイド副業で売れるものを見つけるためには、作品ジャンルの選定、ターゲットの絞り込み、法律と税金の基本理解の3つを押さえることが出発点となります。

本記事の主要なポイントは以下の通りです。

  • 売れやすい作品ジャンルはアクセサリー・布小物・編み物・レザーなど、40〜60代の経験を活かせる7つが中心
  • 月間売上の実態は5,000円未満が最多で、1万円以上は約3割(GMOペパボがminne登録作家を対象とした2023年調査)。これは売上であり、実際の利益は材料費等を差し引いた額
  • ターゲットを「一人の具体的な人物」まで絞り込むことが売れる作品づくりの出発点
  • 価格設定は材料費だけでなく、梱包費・販売手数料・送料・制作時間を含めて計算する
  • 販売プラットフォームは目的別に4タイプ。手数料率は2026年時点で minne 10.659%・Creema 10.67%(いずれも送料込みの決済総額が対象)が目安
  • 著作権・特定商取引法・PL法・確定申告(20万円ルール+住民税)の4点は事前に押さえる

40〜60代の方は、長年の経験から来る品質へのこだわりと、自分のペースで取り組める時間の使い方という、若い世代にはない強みをお持ちです。最初から大きく稼ぐことを目指すよりも、まずは月数千円の収益を得るところから始めて、少しずつ規模を広げていく進め方が向いています。

事業として育てたい方は、スモールビジネスとは?40〜50代から始める小さな起業シニアの「おばさん起業」成功の秘訣と失敗しないコツもあわせてお読みいただくと、次のステップが見えてきます。

長く続けられる副業として、ご自身の手仕事の楽しみを大切にしながら、無理のないスタートを切っていただければと思います。


※本記事は2026年5月時点の一般的な情報および各種公開資料に基づき作成しています。ハンドメイド市場の動向、各プラットフォームの手数料率や規約、副業所得に関する税制は改定される可能性があります。最新情報は国税庁消費者庁等の公的機関のウェブサイトでご確認ください。個別の税務・法律相談については、税理士・弁護士等の専門家へのご相談を推奨します。

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